近年、世界各国で集中豪雨が頻発し、水害や土砂災害が増加しています。そうしたなか、河川の氾濫によって公共施設や工場、住宅などで浸水被害が発生しており、人的・経済的被害に加えて停電や断水などのライフラインにも大きな被害をもたらしています。
インプラント防水壁TMは許容構造部材(鋼矢板)を地盤に挿し込むだけで迅速に構築でき、施設の水没を防ぐことができます。社会経済の発展を支える企業にとって、事業の継続は社会的責任であり、水害の被害を自らの力で防ぐ「企業防衛」が、強く求められています。
洪水や高潮による浸水から守る自立式防水壁
ソリューションの図解
インプラント防水壁は地盤内に鋼矢板を根入れする構造で、自立式の対策工です。インプラント防水壁に用いる鋼矢板は、従来、道路擁壁や河川護岸に使用されており、止水性能としては堤防の基盤漏水対策として多くの実績を有しています。また突出部では洪水による越水を防止できます。地盤内の根入れ部では浸透水を遮断することでボイリングやパイピングの発生を防止できます。
ソリューションの背景
近年の豪雨による水災害の状況や、政府機関の働きかけもあり、全国的に浸水対策のニーズが高まっています。そうした状況下において防水壁の一つとして鋼矢板を用いたインプラント防水壁の実績が増えてきています。
ソリューションの詳解
【圧入工法】
圧入工法は、既製杭を地盤中の所定の深度まで貫入し設置する既製杭設置方法の一つで、すでに地中に押し込まれた杭を数本つかみ、その引抜抵抗力を反力として次の杭を油圧による静荷重で地中に押し込んでいく工法です。
また、静荷重での施工を実現させたことにより、周辺環境に及ぼす振動や騒音が小さく、地盤を乱さず、汚泥が発生しないという長所を有しています。
さらに、既に設置された杭から反力を得るため、圧入機本体の自重が必要なく、施工機械の軽量・コンパクト化が図れます。そのため狭隘地など様々な現場環境への適用が可能です。
【GRBシステム™】
GRBシステムTMは、完成杭から反力を得る圧入原理を応用した画期的な施工システムです。すべての機械装置を完成杭上で稼働させることにより、一切の仮設工事を不要とし、杭の搬送・建て込み・圧入など圧入施工の全工程を、杭の上だけで完結させることができる「仮設レス施工」を実現しました。
【2次製品設置】
※コンクリート2次製品やサイディング壁など
GRBシステムを用いることで、杭圧入から2次製品設置までの急速システム施工を実現した。工場周辺の狭隘地や、既設構造物に近接した条件であっても、杭上での資材供給・荷役作業が可能となりました。
実績や適用例
南海トラフ地震の震度・津波浸水の想定
・最大震度:6強~7
・最大浸水深:3.0~5.0m程度
・浸水深30㎝到達時間:40~60分
当社では、想定される被災(上記載)に対して、インプラント防水壁を構築することで、早期の事業再開に備えています。