株式会社技研施工(本社:高知市、代表取締役社長:大平厚)は、高知県室戸市のため池「黒茂谷池(くろもだにいけ)」においてインプラント堤防®(鋼矢板二重締切)による補強工事を行い、6月下旬の完成に向け工事が進められています。
農業用水を確保するため人工的に造成された「ため池」は、全国に約20万箇所存在します。その多くは江戸時代かそれ以前に築造されたもので、昨年の西日本豪雨をはじめ、近年の大中規模地震やゲリラ豪雨等により、各地で多くのため池が決壊し甚大な被害が生じました。老朽化したため池による災害リスクが高まる中、当社グループの推進する「インプラント堤防®」がため池の堤体補強工事に採用され工事が進んでいます。
高知県室戸市の「黒茂谷池」も江戸時代に築造されたため池で、経年変化による石積みの変形等から地震による堤体決壊が懸念されていました。本工事では硬質地盤圧入機「サイレントパイラー®F201」により、既存の堤体内に長さ5.0m~14.0mの鋼矢板を連続して2列圧入し、粘り強い「インプラント堤防®」を短期間で構築、地震による堤体の決壊を防ぎます。これまで防潮堤や河川堤防の耐震化で培ってきた技術を応用したもので、高知県のため池での施工事例は3例目となります。
農林水産省では、決壊した場合に人的被害を与える恐れのある全国のため池約1.1万箇所を「防災重点ため池」として認定、昨年の豪雨災害を踏まえ、新たな選定基準を設定して再選定を進めています。政府は2018年度第2次補正予算と2019年度予算で、優先度の高い「防災重点ため池」約1,000箇所の緊急対策に合計1,022億円を計上するとともに、今年の4月には農業用ため池への自治体の管理権限を強化する「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」が公布されており、今後「防災重点ため池」の対策強化が全国で加速する見通しとなっています。